黄金と四聖獣
その言葉に、声に、俺は驚いて固まった。
「ゼンなの?」
その言葉と共に、女が近づいてくる気配がする
俺は反射的に、この姿を見られてはいけない
と思い、ばっと近くの一番高い木に飛び移った
そしてそのまま振り返らずに崖の上へ登り
去ろうとすると、
「待てーーーっ!!!ばかゼン!!!」
という女のばかデカイ声が谷間の底から響いた
「あんたが全然来てくれないから、死んだかと思ったわよ!!」
…どうやら、いまさら逃げたところで
俺がゼンだという事は分かってしまったらしい
「…」
無言で崖の上から女を…リズリを見下ろした。
するとリズリは崖を登ってこようとしていた。
「おっ…おい!ばかか!?」
それを止めるために俺は無意識に崖の下へ
飛び降りていた。
「こんな崖、お前みたいなちんちくりんに登れるわけねぇだろ!」
「だーれーがーちんちくりんだ!」
俺がはっと気づいた時にはもう遅く、
腕をガッチリとリズリに掴まれていた。