黄金と四聖獣



その言葉に、声に、俺は驚いて固まった。



「ゼンなの?」


その言葉と共に、女が近づいてくる気配がする






俺は反射的に、この姿を見られてはいけない


と思い、ばっと近くの一番高い木に飛び移った




そしてそのまま振り返らずに崖の上へ登り


去ろうとすると、






「待てーーーっ!!!ばかゼン!!!」


という女のばかデカイ声が谷間の底から響いた




「あんたが全然来てくれないから、死んだかと思ったわよ!!」



…どうやら、いまさら逃げたところで


俺がゼンだという事は分かってしまったらしい




「…」


無言で崖の上から女を…リズリを見下ろした。



するとリズリは崖を登ってこようとしていた。






「おっ…おい!ばかか!?」


それを止めるために俺は無意識に崖の下へ


飛び降りていた。





「こんな崖、お前みたいなちんちくりんに登れるわけねぇだろ!」


「だーれーがーちんちくりんだ!」


俺がはっと気づいた時にはもう遅く、


腕をガッチリとリズリに掴まれていた。





< 189 / 418 >

この作品をシェア

pagetop