黄金と四聖獣




よく見るとリズリは、背こそ変わっていない


ものの、体つきはちゃんと大人になっている


ような気がした。






リズリは、全く変わらない俺の姿を見ても


何も反応せずに



「久しぶり、ゼン」


とだけ言った。




…さっき、人とは思えないほど鋭い爪と


跳躍力と、そして獣の瞳も見えたはずなのに


リズリはその事には何も触れなかった。




もうリズリには、俺が人の形をした化け物だと


わかったはずなのに…




俺がそんな思考を巡らせながら、リズリの


言葉に答えないでいると、



リズリは俺の目をしっかりと見ながら



「あたしは、ゼンが人じゃなくても何も変わらないよ」




と言い放った。




< 190 / 418 >

この作品をシェア

pagetop