黄金と四聖獣
それからは、暇さえあればリズリと宿へ通った
たまに、麒麟も着いてきて、
三人で長々と喋ることもあった。
そして…リズリと初めてあってから、
60年ほどたった時のことだった。
「ファルダー」
そう俺が麒麟に呼びかけると、
麒麟は振り返った。
…麒麟は、人間よりは遅いが、少しずつ
老化が始まっているような気がした。
それも、麒麟としての記憶を失ってしまった
ことの作用なのか…
「どうした?ゼン」
と、麒麟が微笑みながら俺に聞く。
「今日、リズリのとこに行こうと思うんだが…」
一緒に来るか?と、言葉を紡ぐ前に、
家の扉がバンっと開いた。
そこに立っていたのは、元々背が小さかった
のに加えて、腰も少し曲がり、更に小さく
なった、リズリの姿だった。
「ゼ…ゼン!」
急いでここまで来たのか、リズリの息は
あがっていて、苦しそうだった。