黄金と四聖獣
…俺達の生存を明記した文献なんて、
あるはずないのだが…
国境を隔てただけの隣国に、化け物が
うろついているなどと信じているのだろうか。
「…とにかく…このままだと麒麟にも被害が及ぶってことだな。」
そう呟くように言うと、リズリは、
「手配内容は簡単なものです。金髪、白髪、青髪、そして深い緑色の瞳の男と、赤い髪の女を捕らえるか、殺すかしろ、と。」
この国の人たちは大体が黒髪か茶色だ。
その手配内容は、大雑把だが、確かに適切
だとは言える…が…
白髪だって、青髪だって、赤い髪だって
そして、緑色の瞳を持つ人だって
いないわけではない。
このままだと、関係の無い多くの者に被害が
及んでしまう。
そして…麒麟の美しい金色の髪…
あれをこの国で、麒麟以外で見たことは無い。
もしも兵に一瞬でもあの髪を見られたら、
すぐに麒麟だと判断され、連れて行かれるか
殺されるかしてしまうだろう。
それは、絶対に避けなければならなかった。