黄金と四聖獣



そのため俺は、声を出さずに


『敵の狙いは俺達だ』


と口を動かした。




その口を動かし出したのをドラグが見て、


「ファルダ様大丈夫ですか?」



と、息があがっていた麒麟を気遣うが、


しせんはしっかりとこちらを見ていた。




…麒麟の気を逸らそうとしてくれたのだろう。



俺の口の動きで、イーリア、ジリー、ドラグ


全員が、俺が言いたい言葉を理解したよう


だった。




その後、麒麟にも聞かせていいことを話しだす



「甲杜帝国の兵たちが西の国境から攻めてきたそうだ。リズリが知らせてくれた」



そう言うと、四聖獣たちは全て把握した


ようだった。




「敵は、この国の中央にある城に直行して、通る村の住人を皆殺しにしている。ここにいると危ない」


…多少の被害は出ているだろうが、多分


皆殺しにはしてないだろうな



それに、甲杜帝国が向かう先はわかっていない



そう思いながらも、とにかく麒麟を逃がすこと


だけを考える。





「進行も速そうだから、とりあえず避難しよう。ドラグ」



ドラグの名を呼ぶと、やる事はわかっている


とでも言うように頷く。




「ファルダとドラグとリズリは、先に東に逃げてくれ」


そう言うと、麒麟は



「お前達は逃げないのか!?」


と驚いたようにいう。



「俺達も近所のやつらを逃がしたらすぐに後を追うよ。」



俺がそう言い、



「そーだよ心配すんなって、ファルダ様」


と、ジリーが頭の上に手を組んでいった。






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