黄金と四聖獣
「では、わたくしはフェルナンを呼んで…」
リジュンがそこまで言ったところで、
「グオン様、お呼びですか?」
と、曲がり角からフェルナンが出てきた。
「…お前はなにかと陛下のお側にいるな」
と、リジュンがトゲトゲしい口調なのに対し、
フェルナンは爽やかな笑みを浮かべて
「いやぁ、僕の名が聞こえたので」
とだけ返した。
「まぁいい。では、わたくしはこれで」
リジュンはそれだけ言うと、俺に頭を下げて
さっさと踵を返した。
リジュンが背を向けた瞬間、フェルナンの
笑顔は消えていた。
そして、リジュンの姿が見えなくなると、
「フェルナン、お前いつからいた?」
と聞く。
「いやー…リジュンの監視中だったんで、最初からですかね」
「お前、バレたら殺されるぞ?」
「でしょうね、ただでさえ嫌われてますから」
あっさりと笑いながらそう言うフェルナンに
ため息がこぼれる。