黄金と四聖獣



一方で現王はと言うと、貼り付けにされている


役人と、倒れている役人のところへ行き、


一人は矢を抜いてやって自由にし、もう一人


には抱えて起こしてやっていた。





…この人…本当に王様なんだろうか…


へなへなと座り込んでしまった役人に、



「立てるか?」


と手を貸す姿は、王という感じではなかった。


なるほど…確かにシオン様と双子なことはある




「そ…そんな、王の手など掴めません!お…恐れ多い…!」


という役人の腕をつかんで引き起こすと、


現王は、ふぅ、とため息をついた。






「グオン様ー、僕めまいがしちゃって立てませんー」


「俺は腹が痛くてー」


ほとんど棒読みでそう言いながらうずくまる


茶髪と白髪の男ふたりに、現王は



「うるさい、何ならここでくたばれ」


と言い放つ。





…なんか…なんて気の抜ける人たちなんだろう



このひとがシオン様を殺そうとした?


こんなに部下にも優しい人が?




…世継ぎ争いというのは、そんなに壮絶なもの

なんだろうか…





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