黄金と四聖獣
「うん。シオン様、この村に用水路を作るという事業が始まるそうなのですが…」
そう私が言いかけると、シオン様は目を
輝かせて、
「それはすごくいいことじゃないか!用水路ができれば、作物も実って税も払えるだろう」
と嬉しそうに言った。
「あ…はい、それ自体はいい事なんですが、用水路を作る担当者がフェルナンなんです」
と、私はシオン様と目を合わせたまま言った。
…それにさっきまで現王が…
と言おうとしたが、私が口を開く前に
エーラが自分の横に置いてある刀を掴んで、
立ち上がろうとした。
それを、シオン様はエーラの袖を引いて
制止した。
「…」
それに、エーラも無言で立つのをやめ、
座り直す。
ただ、刀は握りしめたままだった。
「それだと、私たちがここに居座るのはまずいな…」
シオン様は、エーラの袖をつかんだまま言う。
「はい、なので早く祠の方に行ったほうが…」
そう言いかけると、シオン様は
「いや、その必要は無い。ライア。」
シオン様は、私から目線を外し、ライアを
まっすぐと見つめる。