黄金と四聖獣
「あぁ、だが、私には麒麟であるという自覚もないし、前世のことも覚えていないんだ。」
と、シオン様は言う。
それに対して、ライアが口を開く前に
ゼンが、
「で、お前自身のことはどうなんだ?」
と率直に聞くと、ライアは
「あぁ、すみません、俺は19代目青龍です。この姿は19歳のもの、今年135歳になります」
と、丁寧に自己紹介をした。
135歳…なんだか、きちんとした数字で
聞かされると、135歳でもすごく長生きしている
感じがする。
でも…よく考えたらゼンは2000歳ぐらいで、
わたしも1800歳ぐらいなはずだから…
それに比べたら全然若いんだなぁ、なんて
思ってしまう。
「そうか、青龍のライア、会えて嬉しい。…君の村が大変な状況だったのもなんとなく理解しているつもりだが…どうだろう、私たちと一緒に来てはくれないか?」
と、シオン様はにこやかにライアに右手を
差し出した。
「明確な最終的な目標が決まっている訳では無いが、次は玄武を探しに行こうと思っている。もしよければ、お前の四聖獣としての力を借りたい。」
そうシオン様が言うと、ライアは
シオン様の手を見つめて固まった。
「…い…行きたいです…けど、用水路が完成するまでは、この村から離れるわけには…」
と、ライアが口ごもりながら言う。
「あぁ、そうだな。ずっとこの村を守ってきたんだもんな…」
と、シオン様は少し困ったように額に手を
当てる。
そして、
「じゃあ、私とエーラは、完成まで青龍の祠の方に隠れているというのはどうだ?」
と、人差し指を立てて、思いついたように
言った。
「…確かにあそこは人は近寄りませんが…生活できるような場所ではないです」
と、ライアは反論するけれど、シオン様は
「水と食料さえあれば、どこだって平気だ」
と笑っていう。
…おかしい…この人はつい最近まで
都で豊かな暮らしをしていたはずなのに…
こんな放浪生活のようなものに慣れてしまって
いる…。
「俺も、どこでも平気ですよ。」
と、エーラも同意した。