黄金と四聖獣
その説明に、エーラはギョッとしたように
こちらをみる。
「まぁ、元の姿って言っても、力を最大限に発揮できる姿っていうだけなんだけど…」
と私が笑いながら言うと、エーラは
「皆のその姿、いつか見てみたいな」
と、少しだけ柔らかい表情で言った。
そして、もう一度外に目を向けた瞬間、
エーラは目を見開いてそのまま窓から
飛び出していった。
「エーラ!?」
私がそう呼びかけても、振り向かなかった。
私は外の様子が気になって、這うようにして
窓のところまで行くと、そこから膝立ちで
外を見る。
そこには、シオン様に剣を突きつける
フェルナンと、そこに向かって走っていく
エーラの姿があった。
…どうしてゼンは止めないの!?
「…まずいですね」
ライアは私の後ろから窓をのぞき込むと
そう呟いた。
私は居ても立ってもいられず、痛む体にムチを
打って、外へと飛び出した。
痛い、痛い、痛い。
でもこんな痛み、きっとシオン様やエーラ、
フェルナンの心の傷よりは全然マシ。
あの三人は…正確には現王を含めた四人は
きっと、まだお互いを信じたいと思ってる
傍から見てもわかるぐらい強く。
私が少しよろけながら通りに出ると、
エーラがシオン様とフェルナンの間に
割って入って、フェルナンに斬りかかっている
ところだった。
「エーラ、止めろ」
そうシオン様が命令すると、エーラはピクッと
反応するが、刀はフェルナンの首に当てた
ままだった。
「ちょっと、話の邪魔しないでくれる?」
「話をしているようには見えなかった」
「やだな、ちょっと脅してただけだよ」
こんな状況にも関わらず、フェルナンは笑う。