黄金と四聖獣



すると、エーラの刀が無くなり見えた


フェルナンの首には、小さな刀傷ができていた





「君が言ったように、私も、こいつも、金輪際君には近づかない。ただ、礼が言いたかっただけだ。ありがとう」


シオン様は笑顔でそう言葉を放ったが、


ひどく他人行儀に聞こえた。



それに、シオン様はフェルナンの名前を

一度も呼ばなかった。




…私が出てくることもなかった。


これは、シオン様たちの問題で、四聖獣が

でしゃばる場面ではないのだと、

家屋に寄りかかるゼンの姿が教えてくれた。




振り返ったエーラはひどく悔しそうに唇を


かみしめ、シオン様の瞳は悲しみの色を


浮かべていた。



そして、その場に佇むフェルナンの表情は、


長い前髪に隠されあまり読めなかったが、


こころなしか、唇を噛み締めているように


見えてしまった。





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