黄金と四聖獣
その美しい金色の瞳からは一筋の涙が
こぼれ落ちていた。
「どうして泣いてるの…?」
話しかけるつもりなんてなかったのに、私は
気づいたらそう問いかけていた。
向こうは私には気づいていなかったようで、
私のことを見ると驚いたように目を見開いた。
そして男の人は口を開いたが、ずっと
声を出していなかったようで、ひどく掠れた
声を出した。
それに、私も、声を出した本人も驚いて、
男の人は咳払いをしてから膝立ちになって
私と目線を合わせ、
「…朱雀?」
と、一言だけ発した。
その呼び声は、私の前世の記憶を引きずり出す
私の前世の、朱雀であったイーリアの記憶。
大好きで、大切な主君の声だった。
「…麒麟様ですね」
私はそっと言葉を返した。
すると、麒麟様はまたポロポロと涙をこぼし
始めた。