黄金と四聖獣
「すみません、私はイーリアではないです。イーリアの記憶は持っていますが、私はフィアネです」
麒麟様に抱きしめられたまま、そう反論すると
麒麟様はパッと私を離した。
「す…すまない、つい…」
「あと、イーリアは別にあなたのこと恨んだりはしてないです。大好きだったみたいですし」
私は麒麟様の言葉に被せ気味に言葉を放つ。
「だから、そんなに辛そうに謝らないでください。イーリアは麒麟様が無事ならそれだけでよかったんです」
自分の中のイーリアの最後の方の記憶。
…その辺はあまり思い返したくないのだけど。
イーリアが一番最後に願ったことは、
『麒麟様どうかご無事で』
ということだった。