黄金と四聖獣
麒麟様の言葉に、ハッとする。
確かに、イーリアの記憶にはそんな能力が
あった。
「ただ、その力を得ると、君は歳をとらなくなる。ちょっとやそっとじゃ死ななくなる。心臓を貫かれない限り。そんな力が、ほしいか?」
そう聞かれて、私は少し下を向いて考える。
…人並外れた力を…私は…
「…欲しくないです。今のままでも、幸せです。でも麒麟様は、朱雀の力が欲しいですか?」
そう質問で返す。
前世の記憶の影響があるのかもしれないけれど
麒麟様につき従わなければという使命感が
頭の中を占める。
「いや、君が望むのなら祠へ連れていこうと思っていただけだ。今の暮らしで幸せなら、それでいい。」
麒麟様は笑って言いながら私の頭を撫でた。
「いつか、イーリアの記憶も薄れていくだろう。ここで、幸せに暮らしなさい」
麒麟様がそう言って私の頭から手を離そう
としたその時、
「フィアネ!!やっと見つけ…ふ…不審者!!私の娘に何をする!!!」
と、矢継ぎ早に叫びながら父が駆け寄ってきた
「じゃあ、さようなら、フィアネ」
父が私から離れさせようと、麒麟様に向かって
拳を振り抜いたのを、麒麟様は少しの動きで
軽々と避けると、そのまま森の奥へと消えた。