黄金と四聖獣



私は水を汲んでから家に帰った。


それを、母と父は笑顔で迎えてくれる。


私は笑える気分ではなかったけれど、心配は


かけまいと、にっこり笑ってそれに応えた。





私のせいでこんな風に村の隅っこで誰にも


相手にされずに暮らすことになっているのに、


どうして笑顔で私に優しく接することが出来る


のか、私にはよくわからなかった。





そしてその日の夜も更けてきた頃、私はまだ


眠ることが出来ずにいた。




頭の中で、自分がここにいることが良いこと


なのかとモヤモヤ考えては答えが出ずに


嫌になる。




そんな時、居間の方から声が聞こえた気がして


私は戸に耳をつけた。





そこで耳に飛び込んできたのは、母の


すすり泣く声だった。




「…」


私のせいで…


私がここにいるせいで…




「…あの子はすごくいい子なのよ、頭も良くて、優しいいい子。なのにどうしてみんな呪われているなんて言うのかしら」


「フィアネは本当にいい子だよ。私達の大切な一人娘だ。だから他のやつらに何をされても、言われても、あの子は手放さない。お前のこともあの子のことも私が守るからな」




父と母の、私がいない所での会話は


二人が本当に私を愛してくれているのだと


知った。





…でも、私がここにいることで母が傷つくなら


父が大変な思いをするなら。





< 330 / 418 >

この作品をシェア

pagetop