黄金と四聖獣
私は水を汲んでから家に帰った。
それを、母と父は笑顔で迎えてくれる。
私は笑える気分ではなかったけれど、心配は
かけまいと、にっこり笑ってそれに応えた。
私のせいでこんな風に村の隅っこで誰にも
相手にされずに暮らすことになっているのに、
どうして笑顔で私に優しく接することが出来る
のか、私にはよくわからなかった。
そしてその日の夜も更けてきた頃、私はまだ
眠ることが出来ずにいた。
頭の中で、自分がここにいることが良いこと
なのかとモヤモヤ考えては答えが出ずに
嫌になる。
そんな時、居間の方から声が聞こえた気がして
私は戸に耳をつけた。
そこで耳に飛び込んできたのは、母の
すすり泣く声だった。
「…」
私のせいで…
私がここにいるせいで…
「…あの子はすごくいい子なのよ、頭も良くて、優しいいい子。なのにどうしてみんな呪われているなんて言うのかしら」
「フィアネは本当にいい子だよ。私達の大切な一人娘だ。だから他のやつらに何をされても、言われても、あの子は手放さない。お前のこともあの子のことも私が守るからな」
父と母の、私がいない所での会話は
二人が本当に私を愛してくれているのだと
知った。
…でも、私がここにいることで母が傷つくなら
父が大変な思いをするなら。