黄金と四聖獣
もう慣れている山の中を、夜なので少し慎重に
でも素早く進む。
麒麟様と会った、あの場所まで、とにかく
行かなくちゃ…
やっぱり私はあの場所にいるべきじゃない。
朱雀になって、麒麟様を側で支えることが
私の前世からの指名なんだから。
麒麟様と会ったあの場所までやっとの事で
たどり着いた。
でも、そこには当然麒麟様の姿は無かった。
確か、麒麟様はこっちの方向に去っていった。
麒麟様が向かおうとしているのはどこ…?
そう考えた時、はっと閃いた。
もしかしたら、私が行くと言っていなくても
南の祠に向かったかもしれない。
きっとそこには、イーリアとの思い出が
詰まっていると思うから。
でも…今これ以上動くと危ないかもしれない…
そう考えた私は、方角を知るためにも太陽が
登るまで待つことにした。
そしてそこで、私は初めて一人森の中で一夜を
過ごした。
とても寒い夜だった。