黄金と四聖獣
私は日の出と共に南に方角を定めて
走り出した。
不思議とお腹は空いていない。
不安もない。
絶対に麒麟様は見つかると、なぜだか私は
確信していた。
けれど、流石に一つ山を越えて、もう一つの山
の中盤に差し掛かる頃には疲れ果てていた。
お腹も空いてきた。
そんな時だった。
私の隣の茂みガサガサっと揺れた。
なんだろう…
と、後ずさりをしながらその茂みを見つめて
いると、黄色い光が二つこちらを見ているのが
わかった。
「…ひ…」
そう、小さく悲鳴をもらした瞬間、茂みから
大きな灰色の動物が飛び出してきた。
今まで見たことのない動物…
黄色い目を持つ牙の鋭い灰色の毛並みを持つ
動物…
その動物は、イーリアの記憶の中にいた。
「…お…狼…」
それも、1匹や2匹ではない。
背後から、両側から、前方からも。
完全に、狼の群れに囲まれていた。