黄金と四聖獣



私を取り囲んだうちの一匹である前方にいた


狼が、私に向かって飛びかかった。




…麒麟様も見つけられずに、私はこんな


ところで死ぬのだろうか…




今まで感じたことのないような恐怖が


頭の中をよぎった。






その時、



「待て!」


という凛とした声が響き、驚くことに狼は


その声に応じて動きを止めた。






木の間を縫うようにして駆けてきた声の主は


麒麟様だった。





「その子はエサじゃない。ここから去れ」



そう麒麟様が狼に向かって言うと、狼は


賢そうな黄色い目で麒麟様を見つめた後、


仲間に首を振って、群れで森の奥へと消えて


行った。





「フィアネ?どうしてこんなとこ…」


そう麒麟様が問いかけてきた瞬間、私は


たまらず麒麟様に抱きついた。





よかった…


よかった!



また会えた!!





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