黄金と四聖獣
麒麟様は、私が抱きついている間、何も言わず
頭を優しく撫でてくれていた。
私がはっとして離れると、麒麟様はこちらを
見てニッコリと笑うと、
「この辺は狼の縄張りみたいなんだ。怖かっただろう」
と私を優しい眼差しで見つめながら言った。
その言葉に私が頷くと、麒麟様は
優しく笑ってもう一度私の頭をなでた。
「それで、どうしてこんなところにいるんだ?流石に、迷子になったわけじゃないんだろう?」
そう麒麟様に問いかけられ、狼の一件で一瞬
忘れかけていた目的を思い出した。
「…私を、祠まで一緒に連れていってください!」
私がそう言うと、麒麟様は驚かず、ただそっと
「いいのか?」
と聞いてきた。
その言葉に私はこくりと頷く。
麒麟様は念を押すように、
「これから、随分と長い旅になる。今みたいなキケンな事もあるかもしれない。そしてその長い間、両親に会うことは出来ないんだぞ?」
と私に言った。
「はい。大丈夫です、私は朱雀ですから」
麒麟様の言葉に、私はしっかりとした口調で
そう返した。