黄金と四聖獣
それから、私達は二人で山を越え、
谷を越え、時に獣に襲われながらも歩き続けた
山を越えていく途中の早朝、
「フィアネ、私の羽織り知らな…」
そう問いかけようとした麒麟様は、途中で言葉
を失ってパクパクと口を動かした。
「洗いました、この通り」
私は木の枝に干した麒麟様の羽織りを指した。
「な…なにもこんな寒い時に洗わなくても…」
「だって、泥とか気の刺とか色々ついてて汚かったんですよ。あと、ほつれてる所も後で直しますから」
両手を組んで顔を青ざめさせながら震える
麒麟様に反論する。
「大体、私みたいな子供にも我慢できる程度の寒さです。麒麟様も我慢して下さい」
「近頃寒い上にフィアネまで冷たい…」
しくしく泣きながら寝るとき用の布を体に
巻き付ける麒麟様。
それに私は少し呆れながら、麒麟様に近づいて
言って抱きついた。
「こうすれば寒くないです。私も麒麟様も」