黄金と四聖獣



それから、私達は二人で山を越え、


谷を越え、時に獣に襲われながらも歩き続けた




山を越えていく途中の早朝、



「フィアネ、私の羽織り知らな…」


そう問いかけようとした麒麟様は、途中で言葉


を失ってパクパクと口を動かした。




「洗いました、この通り」


私は木の枝に干した麒麟様の羽織りを指した。





「な…なにもこんな寒い時に洗わなくても…」


「だって、泥とか気の刺とか色々ついてて汚かったんですよ。あと、ほつれてる所も後で直しますから」




両手を組んで顔を青ざめさせながら震える


麒麟様に反論する。





「大体、私みたいな子供にも我慢できる程度の寒さです。麒麟様も我慢して下さい」


「近頃寒い上にフィアネまで冷たい…」



しくしく泣きながら寝るとき用の布を体に


巻き付ける麒麟様。




それに私は少し呆れながら、麒麟様に近づいて


言って抱きついた。





「こうすれば寒くないです。私も麒麟様も」





< 337 / 418 >

この作品をシェア

pagetop