黄金と四聖獣
その言葉を聞いて、私は心の中では麒麟様が
本気で言っているのをわかっていながら、
「変な冗談はやめてください。私は麒麟様から離れませんよ」
と、ムッとしながら言った。
そして子供のように、麒麟様の腕に抱きつく。
頭の中の思考の5歳児にしては賢すぎる部分が
どんどんと考えを巡らせてしまう。
麒麟様はここで死ぬ気なのだろうか。
自分の命を捨てて、私を逃がそうとしてくれて
いるのだろうか。
麒麟様一人なら、きっと逃げられる。
だけど、頭は大人並みに考えられるとしても
動体視力はただの5歳児並の私を連れて逃げる
ことは不可能だ。
でも多分、麒麟様には私を置いて逃げるという
選択肢はないのだろう。
優しすぎるから…
色々と考えていくうちに、手が震えてくる。
離れたくない。
だってこの人は、私が仕えるべき人で…
それで…それで…
…それで…?
私は、朱雀として使えるためだけに、
親元を離れてこんな所までこの人に着いて
来たの…?