黄金と四聖獣
自問自答の先の言葉は私は分かっていたはず
だった。
子供の私が、分からないふりをしていただけ
だった。
そっと、麒麟様の手が私の頭に触れた。
「フィアネ…すまない。賢い君は分かってると思うが、私はここからは逃げられない。流石にあの量の兵からは逃げきれない。ここから先私はフィアネにはついていけない。」
「…わかんないよ。私は麒麟様と一緒にいる」
こんな時に限って、さっぱり冷静になれなく
なった。
こんな事を言ったら、麒麟様を困らせる。
分かっていても、5歳の私が冷静な考えを
押し込めた。
「フィアネ」
そっと私の名を呼んだ麒麟様。
それに私が顔を上げると、麒麟様はこれまでに
無いぐらい、優しい笑顔を浮かべていた。