黄金と四聖獣
「フィアネ、今まで、着いてきてくれてありがとう。最初で最後のわがままを聞いてやれなくてすまない。」
麒麟様のその言葉を聞いて、泣きそうになる。
やだ、やだ、一緒にいたい。
だって…私はきっと、この人に、優しい笑顔に
恋してしまったから、今もここにいるんだから
5歳児がいっちょまえに恋だなんて、おかしい
かもしれない。
でも、きっとこれは、前世越しの恋なのだ。
そんな時、私の思考を遮るように至近距離から
枯れ葉を踏む音が聞こえた。
その音で、私の押し込めていた冷静な考えが
表へ飛び出した。
「…麒麟様、本当に、それでいいんですか?」
私は声を潜めながら、麒麟様の目を見て言った
すると麒麟様は、優しく、でも少し切なそうに
微笑んでから言った。
「私はフィアネに生きてもらいたいんだ。もしもフィアネの様に、私が生まれ変わったらまた側に居てほしい。…なんて、随分身勝手だが」
その言葉に、私は涙を堪えられず、下を向いて
何度も頷いた。
それを見た麒麟様は、私の頭を撫でてから
私の手に、小さな刃物を握らせた。
「もしもの時の、護身用だ。けど、そんな危険が及ばないようにするよ、必ず。」