黄金と四聖獣



再び森の中に入ると、そのままさっきいた場所


まで、走っていく。




その途中、兵士は一人も見かけなかった。


早く…早く!!




走って走って、その先には、何事も無かった


かのように麒麟様が立って笑っているような、


そんな気がする。




今までの事全部嘘だったって言ってくれる


ような…そんな気が。





けれど、そんな思いはすぐに打ち砕かれた。



走っていくその先に、おびただしく折り重なる


兵士の姿があった。




「ひっ…」


その兵士達は、ピクリとも動かなかった。



恐怖心をこらえ、それを避けてさらに進んで


行く。




すると、そこには、一人の兵士が剣を


振りかぶり、何かに馬乗りになっているのが


見えた。





兵士の下敷きになっているものに目を凝らす。


そしてそれの姿を見た瞬間、私は身を潜めて


いた気の裏から飛び出して、麒麟様から貰った


小さな刃物を取り出すが早いか


兵士に向かって投げつけた。



その刃物は兵士の腕に刺さり、兵士は


驚いて飛び退き、こちらを見た。




その時には、私は近くまで迫っており


怒りに任せて男の腕から刃物を抜くと、それを


首に向かって振りぬこうとした。





兵士は突然の奇襲に驚いて体制を崩し、


避けられそうにもなかった。






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