黄金と四聖獣
私のせいで…
全ては、私が無力なせいで…
私の大事な人が死にかけている。
力が無ければ、何一つ守れない。
「…フィアネ…ごめんな」
私の頬に、そっと麒麟様は手を伸ばした。
「ずっと…一緒に居られなくてごめんな…」
私の頬に触れた麒麟様の手は血で濡れていて
とても冷たかった。
…私の手を引いてくれた、道を示してくれた
大きな手が、体温を失っていく。
…っ…!
置いていかないで、麒麟様を失ったら、私は
本当に独りぼっちだ。
言葉にしたくても、全く声が出ない。
今にも閉じてしまいそうな麒麟様の目が、
生気を失っていく肌の色が、怖くて仕方ない。
「姿は見えなくとも…ずっと…そばにいるよ、フィアネ。もう一度…出会える時が来るまで…ずっと…」
麒麟様は、私を安心させるかのように
そう優しく微笑みながら言った。
「…私…私は…麒麟様を…一度も助けられなかった…朱雀の力さえ…力さえあれば…守れたのに…私のせいで…!」
言葉を紡ぐたびに涙が溢れた。
私の頬に触れる麒麟様の手を両手で握る。