黄金と四聖獣
隠した心
それから数日後、私の怪我も完全に治り
用水路の建設もほとんど終わりに差し掛かって
いた。
役人たちはほとんど村人に突っかかることは
無くなっていた。
建設を始めてからずっと、たった一人で
指揮を取りながら誰よりも休まずに働いていた
フェルナンの姿が今日は見えないことに
気づいた私は、村の隅のほうに生えている
高い木に上り、木の上から村を見下ろした。
シオン様とエーラの命に興味は無いよう
だったけれど、もしそれが演技だったのなら
姿を消しているのは怪しい…
そう思いながら姿を探す。
すると、温泉側の村の端に、エーラが子供たち
にたかられて、押し倒されているのが見えた。
…エーラがあんなに笑うなんて、珍しい…
子供たちとじゃれ合いながら、無邪気に笑う
エーラを見て、私は驚いた。
その近くに、フェルナンらしき人影は無かった
次に、あくびをしながら木材を運んでいるゼン
と、その後について建設用の道具を運ぶライア
の姿を見つける。