黄金と四聖獣
この傷…すごく深い。
体を刃物が貫通したようで、背中のほうからも
血が出ていた。
それに傷は、恐らく一度は塞がったものだ。
それが、無理に動いているうちに一度…
いや、二度ぐらい、また傷が裂けるようにして
開いてしまっている。
「…無視とか感じ悪いと思うけど」
そうフェルナンは言いながら私の頭を人差し指
でつつく。
「…どうしてちゃんとした手当もしないで無茶してるの?」
私はフェルナンの目を見て真剣にそう言った。
「…別に。僕が今まで無理してるように見えた?」
冷たいフェルナンの視線が刺さる。
確かに、血の匂いがした時はあれ?と思った
けれど、他の時は普通の顔色、
普通の立ち振る舞いで建設に当たっていた。
でも…
「確かに、無理してるようには見えなかった。でも、傷がこんなに何度も開いてる。それにすごく重症じゃないこの傷…」
傷口はもう塞がり、跡もだいぶ薄れてきた。
けれどもう少し、内部まで治しておかないと…