黄金と四聖獣
手を洗い終わると、手拭いを持っていない
気づく。
私は小さくため息をつきながら、手を振って
水を払った。
「フィアネ?」
突然そんな声が後ろから聞こえて、驚いて
振り返る。
するとそこには小さな男の子を肩車しながら
桶を持ったエーラが立っていた。
「エーラ、どうしたの?」
私がそう聞くと、エーラではなく肩車された
男の子が、
「温泉のお湯汲みに来た!」
と元気に答えた。
私は男の子に向かって微笑むと、
「そうなんだ、手伝うね」
と言った。
すると、男の子は目を見開いて少し頬を
赤らめた。
それをあまり気に止めず、エーラの持つ桶を
取る。
「お前、いい加減降りろよ」
エーラが男の子に向かって言うと、男の子は
「やだ!」
と即答する。
「…お前な…」
「だってエーラに乗るといつもと全然景色違って楽しいんだもん」
そう言いながらはしゃぐ男の子を私は見ながら
温泉のお湯を汲んだ。
「確かにエーラって結構背が高いし、乗ったら楽しそうね」
と、私が冗談半分に笑って言うと、男の子が
「お姉ちゃんも乗ってみなよ」
と楽しそうに言って飛び降りた。
「うわっ、危ないだろ!ていうか、俺は乗り物じゃないぞ」