黄金と四聖獣



夕食が終わり、私は弓矢を持ち出し村から


出ていた。




ライアが覚悟を決めたという事は、


もう間もなく、この村から出て今度は北を


目指して旅をするということだ。






ここから北へ行くには、谷だらけの山間を


通るか、再び検問のある市場を通るかの二択


となる。




どちらが安全かと聞かれれば、まぁどちらも


別の意味で安全とは言えない。




かたや奈落の底に落ちるという危険か、


かたや城の軍に追われるという危険か。





どちらにしても、弓の技術は必要だろうと、


矢を射る鍛錬をする。






…でも、動かない木を射るのは恐ろしく簡単で


全ての矢を命中させてため息をつく。






祠の近くに暮らしていた頃は、


多少は夜目が利くのに加えて慣れもあったため


夜にも狩りをすることはできたが、


ここの地形はまだそれほど把握できている


わけではない。




それこそ、どこかの穴にでも落ちて生き埋めに


でもなったら笑い事では済まない。






仕方なく弓を片付けると、それを片手に


村へと戻った。






< 402 / 418 >

この作品をシェア

pagetop