黄金と四聖獣
夕食が終わり、私は弓矢を持ち出し村から
出ていた。
ライアが覚悟を決めたという事は、
もう間もなく、この村から出て今度は北を
目指して旅をするということだ。
ここから北へ行くには、谷だらけの山間を
通るか、再び検問のある市場を通るかの二択
となる。
どちらが安全かと聞かれれば、まぁどちらも
別の意味で安全とは言えない。
かたや奈落の底に落ちるという危険か、
かたや城の軍に追われるという危険か。
どちらにしても、弓の技術は必要だろうと、
矢を射る鍛錬をする。
…でも、動かない木を射るのは恐ろしく簡単で
全ての矢を命中させてため息をつく。
祠の近くに暮らしていた頃は、
多少は夜目が利くのに加えて慣れもあったため
夜にも狩りをすることはできたが、
ここの地形はまだそれほど把握できている
わけではない。
それこそ、どこかの穴にでも落ちて生き埋めに
でもなったら笑い事では済まない。
仕方なく弓を片付けると、それを片手に
村へと戻った。