黄金と四聖獣
「な…な…な…」
驚いているのは少女も同じようで、
口をぱくぱくさせながらこちらを見る。
そして少女は、きっと茶色の目を細めたかと
思うと、綺麗な黒い長い髪をたなびかせて
懐から短剣を取り出し、私に向かって
襲いかかった。
私は一瞬呆気を取られたけれど、ほんと一瞬
だけだった。
体を反らせてかわしながら考える。
…まずは、刃物を払わないと。
その後にも向かってくるようなら、蹴りは無し
もし崖を越えたら絶対に死んでしまう。
…腕をひねり上げるぐらいが丁度いいかも…
そんな思考を巡らせたのがほんの1秒足らず。
次の瞬間、少女の手に握られていた短剣は、
岩壁の方に吹き飛んでいた。