黄金と四聖獣
少女は目を見開きながらも、まだ果敢に
向かってこようとする。
その少女の腕を、ゼンが後ろから掴んだ。
「はい、大人しくしてもらおうか」
ゼンが嫌味たっぷりの笑顔でそう言うと、
少女もはムッとしたような顔をして、少し
屈んでから跳ね上がった。
すると見事に少女の頭がゼンの顎に当たる。
ゴッという音とともに、ゼンと少女は
二人して頭と顎とを抑えてうずくまった。
「なにすんだ小娘!」
ゼンが顎を抑えて痛みに悶絶しながらそう叫ぶ
「う…うるさい!」
少女も頭を抑えて涙目になりながら、
壁際に落ちていた短剣を拾うと、行く手に
立ちはだかった。
「あんたらみたいな野蛮人、絶対にここから先は通さないんだから!!!」
少女はそう叫びながら、短剣を構えた。
「それは困ったな」
後ろからそんな声がして、振り向くと、
いつの間にかシオン様たちも登ってきていた。
さすがに五対一では分が悪いということを
少女は察したようだが、唇を噛み締めて
なおも退こうとしない。