黄金と四聖獣
差し伸べられた手を掴んで立ち上がった少女は
怯えた表情を隠すようにキッと眉を釣り上げた
「…この先に何の用なのよ」
睨みながらシオン様にそう聞く少女。
その態度が、エーラを余計に不機嫌にさせる。
一方で、暴言を向けられているシオン様は
穏やかに笑っている。
「正確に言えば、ここに用があるわけじゃなく、もっと北の方に用があるんだが、事情があってここを通るしかなくてな。この先には、君の家でもあるのか?」
そうシオン様が言うと、呆気をとられたように
少女が目を見開く。
「…う…嘘をつけ!この先には反り返った崖を超える以外道はない!あの崖を越えられるわけないだろ!」
去勢をはるように大声で反論する少女に、
「この2人がここまで一瞬で登ったのを見ただろう?」
と、シオン様は言いながら私とゼンの肩を
掴んで引き寄せた。
そのシオン様の言葉に、少女は黙り込む。