黄金と四聖獣


私は初めての城下町に少し心を踊らせながら



きょろきょろと見て回る。




護衛のものが二人ほどついていたが、


自由にまわらせてくれた。




ドンッという鈍い音がして暗い路地裏の


方に目を向けると、同い年ぐらいの男の子が


大柄の男に殴りつけられていた。



男の手には巾着のようなものが握られており、


男の子は必死にそれにしがみついていた。


私はとっさに、



「何をしている!」


と、声を荒らげて言った。


子供に乱暴して金をもぎ取ろうなど…


そう思いながら私は懐にあった巾着を


大柄の男に投げつけて言った。




「そんなものならいくらでもくれてやる。早くここから去れ。さもないと…」


そこまで言うと、後ろにいる護衛二人が


刀に手をかけた音がした。



男は巾着をもって、全速力で路地裏の奥へ


消えていった。




「大丈夫?」

そう、倒れ込む男の子に声をかけると、


男の子は私を見上げてから目を見開いた。



「ば…化け物…」


男の子は、確かに私に向かってそう言った。



「…私は人だよ?」


と返すと、男の子は、


「人は…左右で目の色が違ったりしない!大体なんで左目だけ獣みたいな目をしてるんだ!化け物が!!」


と叫び、差し伸べていた私の手を払った。




護衛の二人が、


「なんという口の聞き方!この方は…」


と言いかけたところを、私は手で制して言う。



「そうか、すまない…怖がらせてしまったな」


それだけ言うと、身を翻し、護衛二人にも


付いてくるようにいうと、左目を手で


隠しながら歩き始めた。




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