黄金と四聖獣
地図を渡すと、エーラは地図を少し見てから
「あっち」
と言った。
「…エーラ現在地どこかわかってる?」
そう、シオン様に言われて
「この辺です」
と、指で指す。
「…エーラ、そこ海だよ」
「!?」
エーラは驚いたように地図を見直し、
首をかしげる。
「昔から、エーラは自信のある方向音痴だな」
そう苦笑いしながら言うと、
エーラはまだ地図を見て固まっていた。
私がそこを見守っていると、
シオン様がエーラの持っている地図を
のぞき込んですぐに言った。
「そっちの方向だよ。行こう」
シオン様のその言葉に、私は驚いて
シオン様を見る。
「…麒麟様はすごく方向音痴だったのに…」
そう呟くように言うと、エーラが先を進む
シオン様を見ながら言った。
「シオン様は天才だよ。武器の扱いも、学問にも秀でてる」
その言葉を聞いて改めてシオン様を見るけれど
その時ちょうど、シオン様は木の枝に
髪の毛を引っ掛けてしまっていて、
『できる人』という雰囲気はあまりしなかった
「何してるんですかシオン様」
そう言って、エーラはシオン様の横に行くと、
絡まった髪を取ってあげていた。
「ありがとう、エーラ」
髪が引っ張られて痛かったのか、シオン様は
少し涙目になっていた。
「ところで、フィアネ…この森は鳥が多いのか…?」
そう言って、私の背後を指さすシオン様。
私が振り返ってみると、大量の鳥たちが
地面や、木の枝の上からこちらを見ていた。
「あぁ!この子達は、前に巣から落ちたところを助けたり、一緒に飛ぶ練習をしてあげた子達だと思います」
と笑って言ってから、その場にしゃがみこんで
「おいで」
と、一言いった。