黄金と四聖獣
捧げた命
私は気がつくと、知らない場所に立っていた。
緑の草木が生い茂り、爽やかな風が吹く
草原だった。
あたりを見渡しても、誰もいなかった。
「フィアネ」
そんな声が後ろから聞こえ、驚いて振り向くと
そこには、初代麒麟様が立っていた。
「麒麟様!?」
そう言って麒麟様に近づいていくと、
麒麟様は微笑んでいった。
「フィアネはまた、私を見つけてくれたのだな。」
その言葉を聞いて、私の言葉は、麒麟様に
届いていたんだ…と確信した。
「私からフィアネに頼みがある」
と、黄金の瞳を細めて、まっすぐと私を
見つめる麒麟様に、私は
「何なりと」
と返事をする。
すると麒麟様は、
「白虎を、暗闇から救ってやってくれ」
とだけ言った。
「もう少し詳しく…」
と言おうとしたが、その時には麒麟様の姿は
もうすでに薄れて消えそうだった。
「っ…麒麟様、置いていかないで…」
そう手を伸ばすけれど、麒麟様には届かない。