黄金と四聖獣
やっと市場が見える丘の上についた時には、
辺りは真っ暗になってしまっていたが、
雨はずっと降り続いていた。
「…エーラ、滝に打たれたみたい」
そうビシャビシャなエーラの側に行くと言う。
「俺は仙人か」
エーラは疲れているのか、少し遠くを見ながら
突っ込んだ。
「…宿を探そうか」
ずぶ濡れなエーラと、少し足下がおぼつかない
私を見て、シオン様はそう言った。
そう言っているシオン様だって、山越えで
疲れ果てた顔をしていた。
市場の方に降りていくと、ほとんどの店が
店じまいをしていた。
三人で見て回るも、なかなか宿が無く、
そのまま市場の外れまで来てしまった。
今日も野宿となると、外はぬかるんでいるし、
少し厳しいことになりそう…
そんなふうに考えていた時、前方に
宿、という文字が見えて、三人は
顔を見合わせた。
私が先頭になって、宿の戸を開けると
とても背のちいさいお婆さんが飛び出してきた
「客ですかね!?」
現れるなりすぐに凄い剣幕でそう聞くお婆さん
に、圧倒されながらも、私たちはこくこくと
頷いた。