黄金と四聖獣



「なんてこったい、いつぶりか」


そう言ってから、ふぇっふぇっふぇ、と笑う


お婆さん。





小さい体に釣り合わなさすぎる大きな声だった


「三人で?」


そう聞かれて、


「はい、空いていますか?」


と聞き返すと、お婆さんは



「空いてますとも、客なぞ全く来ないんでね」


と答えた。




賑やかな市場なのに、客が来ないというのは


なぜなのだろう…



と不思議に思っていると、




「なんで客がこないか気になるんじゃろ」


と、お婆さんは心を読むかのように言った。




「まぁまぁまぁ、そんなことよりお入りなさい、さぁさぁさぁ」


客が来ない理由を教えてくれるのかと思いきや


今度は急かすように私たちの背を押して


宿に押し込むお婆さん。





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