君が罪なら俺は罰を受け入れる








『んじゃ、はい。』





あたしの話を聞き終えた彼は、あたしに向かって手を差し伸べてくる。



差し伸べられた手の意味が分からず、あたしはその手に向かって首を傾げた。










『俺のお陰で山下の仕事が成功してるんだろ?


 だったら、謝礼ということでインセンティブ分』










『は!?』










『嘘々。でもまぁ、もう少し人に迷惑をかけないように整理くらいしてくれ』








彼は手を引っ込めると、一つのファイルを取り出した。









『まぁ、気をつける。


 てか、これから打ち合わせ?』









『あぁ。今から坂巻さんと打ち合わせ』








坂巻さんーー




彼が言った「坂巻さん」は、つい一か月前にここの式場で結婚式をするって契約したカップルの新郎の名字。










『また新郎のお母さん?』





あたしは彼に問いかける。









『そう。』





短く返事をする彼。




もちろん新郎新婦とも打ち合わせをしているのだけれど、彼はこうやって度々新郎のお母さんと二人だけで打ち合わせを行っている。













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