君が罪なら俺は罰を受け入れる
『………いや、出来てはないけど』
俺がたじたじになりながら答えると、バカ女は突然、真顔になる。
(……は?なんでここで真顔?)
俺はバカ女が真顔になった理由を問いかけたくて、でも声にならず…
『………てか、百合さん、聞いてます?』
未だ真顔で、しかも無言状態のバカ女に問いかける。
『………うん。聞いてる』
バカ女は口ではそう答えるけれど、確かに俺を見てるのに、でも視点が俺に合ってないように思えるのは俺の勘違いか……
『あのさ………』
そう心の中で悩む俺に、バカ女は声をかけてくる。
『何?』
俺がバカ女に問いかけると、バカ女は不思議そうな顔で俺を見つめてきた。
『………いや、私ね?
小原とは友達だし、小原のこと恋愛対象とかに見たことなくて……』
(……分かりきってますよ、言われなくても知ってますよ)
(だからあえて言葉にして言ってくれなくてもいいんだけど)
『でもね?
なんか小原が誰か、私じゃない女の子の彼氏になっちゃうのとかっていうのは嫌っていうか……なんか寂しいなって思って………』
(……………はい?)
バカ女の言うこと、だから特別な意味があるとか勘違いしてはいけない、何か期待するとかしちゃいけない、それを自分自身が一番よく分かってるのに。
それでも特別な意味があるんじゃないかとか勘違いをしたくなる、何かを期待してしまいたくもなる。
『あれだろ?ただ単にお気に入りの玩具を取られて寂しい、みたいな。
あんな感じだろ?ここまで恋愛の価値観とか合う奴もなかなかいないだろうし』
俺は何事もなかったかのように、強がってそんな言葉を言ってみるけど。
バカ女は首を傾げていた。
『お気に入りの玩具が取られて寂しいとか悔しいとか似てるかもしれない。
でも……なんかそれ以上に小原が誰かのものになるのって嫌かも……』