君が罪なら俺は罰を受け入れる
『…………百合………』
俺がバカ女を見つけた時、バカ女はちょうど元彼を見つけた時だったらしい。
元彼がバカ女の名を呼ぶ、その瞬間、バカ女は肩を震わせた。
(………すっげー最悪なタイミング………)
『………何、やってんの』
元彼も気まずいのか、バカ女に話しかける時、声が少しだけ震えていた。
『………………映画………映画、観に来たの………』
そう、震えた声で返すバカ女。
『……一人で?』
『………友達と』
淡白な会話なんだよ、周りの人間からすれば。
それでも、バカ女はきっと嬉しくてー……
(きっと泣きそうな顔をしてるんだろうな……)
『…………そっか』
別れたばかりの二人、嬉しいという思いが百合の中にあっても、それでも会話が続かない。
そんな二人に気がついたのか、元彼の友達が口を開く。
『……一緒に来た友達の所に戻らなくていいのか?』
その言葉にようやく俺を思い出したんだな、きっと。
『…………うん。じゃ………』
バカ女は後ろ髪引かれる思いだったんだろうな。
すっげー微妙な顔で元彼達に背を向け、こちらの方に足を動かし始めた。
俺はその様子をもう少しだけ見守り、そしてバカ女に背を向け、一足先に先程の場所へと向かう。
俺が到着して、その3分後にバカ女は戻ってきた。