君が罪なら俺は罰を受け入れる
『突然声なんかかけてすいません。
それと……俺のダチが煮え切らない態度ばかりで……』
元彼の友達はそう言って、俺から一つ分あけた隣のシートに腰かけてきた。
『…………あ、………いや俺は別に……』
俺はどんな風に答えていいか迷う、それが態度にもよく表れているのが自分でも分かった。
『もしかして………あなたが小原君?』
元彼の友達は一つため息を吐いて、そして俺に問いかけてくる。
突然の問いかけに俺の目は点になる。
『………あ、そうですけど。えっと……なんで俺の名前……』
『よーく、百合がアイツにあなたの名前を話していたみたいだから』
『…………え、アイツが彼氏さんに?』
(………おいおい、彼氏との会話になんで俺の名前なんか出したんだよ!?)
『百合って、好きな男とか彼氏とか、とりあえず今一緒にいる人に一直線になる奴なんだよね』
(………確かに。元彼と付き合ってる時は元彼だけだったし……)
元彼の友達の言葉に、俺は静かに頷く。
だって、今まで俺が見てきて、俺もアイツに対してそう思ってたし。
『確かに百合は英人に夢中だった。英人も百合に夢中で俺なんかが見てても相思相愛の二人だったよ。
俺らの中じゃ、この二人が一番最初に結婚するとか思ってたし。
けど……小原君の存在に英人はいつも怯えてたんですよ?』
嘘、だと思った。
元彼の友達が話した、最後の言葉。
嘘、じゃなければ冗談だと思った。
『自分を好きだという百合、でも百合の口から語られる小原君の名前、小原君の存在。
普通、いくら仲がいいっていっても毎度毎度、男友達の名前を出します?』
元彼の友達に問いかけられ、俺は思考回路が完全に停止した。
(てか、俺、初めて聞きましたけど?)
(アイツが元彼さんに俺のことを話してた、とかー………)