君が罪なら俺は罰を受け入れる








『ま、別れを選んだのは英人の選択です。

 小原君の存在があろうとなかろうと百合と一緒にいることを選べたのも事実ですから。

 それを出来なかったのは、しなかったのは英人であって、小原君の責任ではないんですけど。


 だから、百合の支えになってやってください、小原君自身の罪滅ぼしだと思って。』









(…………罪滅ぼし………)








『だって、こんな話を聞いて小原君は自分自身を責めるでしょ?

 自分がいなければ百合はあんなにボロボロになることはなかったって。


 ま、小原君が百合をどう思ってるかによって、自分自身をどれくらい責めるか、それは変わってくるかと思いますけど』






元彼の友達の言葉は、どれも的確に俺の心情を突いてくる。



いや、俺のバカ女への想いも分かってて、きっと話してる。



俺がどれだけバカ女を想っているか、それを彼は知ってる。



だからこんなにも的確に突いてこれるんだと、俺は確信する。











『………責めませんよ、俺は』





責めても、責めても、それでも心のどこかで俺はいつもあのバカ女が別れたってことを嬉しく思ってるんだから。





(最低だな、俺。)



(きっとこんな俺を知ったら、俺は間違いなくあのバカ女に捨てられるだろうな……)









『百合が好きだから?

 百合が別れて万々歳?ま、それが人間らしい答えですけど』








『そっすね。だから俺、友達さんに対しても悪いなとかいう感情はなくて。

 それはアイツに対しても。こんなにも人は己の心だけで生きれるのだと、アイツと友達さんに教えてもらった気がします』








『俺、小原君と友達になれる気がします。素で。

 でも、それは英人の存在抜きで、ならであって、今の俺には無理っすね、残念』






元彼の友達はそう言うと、シートから一人立ち上がる。



その視線を追えば、元彼がたった一人でこの場内へと戻ってくるのが確認できる。







(…………アイツは……?)





俺は元彼の前後左右、何度も何度も視線を動かし探す。



けれど、そこにアイツの姿は見えなかったー………








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