君が罪なら俺は罰を受け入れる
俺は罰を受け入れる
『幸せにしてやってください』
『…………あの。』
俺がそう呼びかけると、元彼が俺の声に振り向く。
元彼の友達は席の並びで俺とバカ女の姿に気が付いていたらしい。
元彼は驚いた顔を見せるが、友達は少し曇った表情をするだけだった。
『…少し時間をいただけませんか』
俺がそう問いかけると、元彼は友達と顔を見合わせる。
『………何か用すか?』
友達が怪訝そうな顔で問いかけ直すのに、俺は「あなたと話したいことがあります」と元彼の方に体を向き直して話す。
元彼は俺の言葉に、一度目を逸らし、俺の隣にいるバカ女を見る。
そして俺の方に視線を戻すと、その口を開いた。
『………俺は話す必要もないと思いますし、話す内容もありませんから』
そう言葉にしたかと思えば、元彼はトレーを持ち、席を立とうとする。
(ここまで来たんだ。隣にいるバカの為にも……ちゃんと話せなきゃ。)
俺は咄嗟にトレーを持つ元彼の手首を掴む。
掴まれた元彼は俺のその手を見、そして俺の顔に視線を変えてくる。
『あなたになくても、俺にはあなたとどうしても話せなければいけないことがあります。
だから10分でもいいんです、少し俺の話を聞いてもらえませんか?』