君が罪なら俺は罰を受け入れる
『捨てた女に情けをかけるな』
『アイツは特別だったから。
アイツに別れを切り出した時さ、他に好きな女が出来たんだって言ったんだ。
動揺を隠せないアイツの顔を見ながら、もう嘘をつかなくていいんだって、もう嘘をつく罪悪感に苦しまなくていいんだってスッキリした。
けど、時間が経ってきて……アイツのいない部屋に戻った時、すげー喪失感に襲われたんだよね…』
(……だったら、なんで他の女に目移りなんかしたんだよ)
沸々と怒りが込み上げてくるのを感じながらスマホを耳から離す。
『まぁ……分からなくもないけど。
けど、ここでお前が現れても、もうお前は悪者に過ぎないじゃん?
裏切り者って罵られてさ……てか、ここに来た目的はアイツともう一度付き合うため?』
先程から俺の心の声を代弁してくれる奴に少しばかりか感謝の想いが産まれてくる。
俺が聞きたい、この男の本音ー……
どんな答えでも「ふざけんな」と一発殴ってやりたいけど。
『………………ヨリは戻さない。
アイツへの想いだってある、けどそれは多分……ずっと特別に想ってきた奴に対しての情けなのかもしれないけど』
(……そんなしっかりと自分の気持ちを自覚してるならここに来るなよ!)
それでも、例え情けだとしても……
アイツは喜んでこの男のものになるんだろうな、と冷静に思える俺もいる。