君が罪なら俺は罰を受け入れる






『すっげー動くね、コイツは。

 臨月になると動きが落ち着くとか聞いてたけど、本当によく反応する。


 まるでもう少しで産まれるから、産まれたら沢山遊んでよって言われてるみたいだな』






俺がつんと優しく指でお腹を突くと、それに応えるかのようにお腹が動く。




初めて彩華に「胎動が分かるようになったよ」って言われた時から、この指でツンツンが俺とお腹の子のコミュニケーションになった。









『英ちゃん、いいパパになってくれそうで私も安心するな』





彩華はそう言うと、「あなたのパパは本当に優しいパパだよー」と言いながら、優しくお腹を撫でていた。









ーーいいパパ。


彩華は妊娠が分かってから、俺を“いいパパ”と言う。





でも俺は本当にいいパパになんてなれるか不安ー……










『英ちゃん、私をママにならせてくれて、本当にありがとうね』





俺が不安を感じる度に、彩華はいつもこう言ってくれる。








『彩華、ありがとうを言わなきゃいけないのは俺の方だ………』






本当に、“ありがとう”を言わなきゃいけないのは俺の方ー……








< 80 / 143 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop