君が罪なら俺は罰を受け入れる
彼と初めて会ったのは高校の入学式。
後悔と虚しさだけが私の心を埋め尽くす中、彼は私の前に現れた。
『そこ、俺の席なんだけど』
新入生で溢れる教室、見つけた自分の席。
そこに座っていた私に、無表情で声をかけてきた男の子。
『………………』
ビー玉のような透けた瞳には私が映ってるのが見て分かる。
けれど、確かにその瞳は私を映しているはずなのに、私を見ていないような気がした。
『あの、俺の言葉……聞こえてる?』
彼は少しだけ腰を曲げ、私の顔を覗き込むようにして見てきた。
突然の近距離に、見上げていた時よりもはっきりと彼の顔が見えて……
『………あ、私……えっと19番って黒板に名前……』
不覚にも初めて会った男の子にドキッとしてしまった。
それを必死で打ち消したいのか、それともドキッとした心を鎮めたいのか、私は俯きながら答えた。
『え、俺も確か同じ………あれ、わりぃ。俺の見間違いだった』
私の言葉を聞いて、彼が黒板を確認したんだろう。
その言葉を聞いて、私はユックリと首を横に振った。
それが私なりの“大丈夫です”の意味を込めた返事のつもりだった。