春夏秋冬を君色に
冬
漂う空気が白く姿を変え、落ち葉の上へ降りている。
それは朝日に照らされキラキラと光を放って輝いている。その光景はまるでイルミネーションの様だ。
季節はいつの間にか冬を迎えていた。
黒いコートに腕を通し、ポケットから出した小さな専用のイヤホンを耳に付け、iPodを操作しながら曲を探す。
玄関のドアを開け外に出た瞬間、ひんやりした空気が頬を包む。
「寒っ…」
思わず出た声は白い吐息として吐き出され消えてゆく。
再生を表すマークを指で触れてからiPodを持つ手をポケットにしまう。
耳に流れてきたのは静かな音から始まる落ち着いたクラシック。
外の世界から離れ一気に自分だけの世界になる瞬間。
この時が一番落ち着く。