キミのことがスキなのに…。

「おはよ、結麻。」

彼は、如月廉くん。
私の彼氏。

「おはよ、廉くん。」

「病院、どーだった?」

廉くんには病院に行っていたことは伝えていた。
でも、病気だったなんて言えない。
しかも、そう長く生きられないのに。

「ただの、寝不足と体調不良だったんだー。
だから、もう大丈夫!!」

全部、ウソ。
最近はよく眠れていたし、体調もそんなに悪くなったこともない。
廉くんに初めてウソをついた。
ごめんね、廉くん。

「なんだー。よかったよかった!
気をつけろよ~。」

廉くんはいつもと同じ様子。
よかった、気付いてない。

「うん。気をつけるね。」

周りから見た私たち2人はきっといつもどおり。
いつも私たちはこんな感じだから。
周りを気にせずに2人で楽しく話している。
でも、いつもと違うのは私の気持ち。
廉くんと話していて楽しいのは変わらないのに、
もう少ししたらこれもできなくなっちゃうのかなって考えると
素直に喜べない自分がいた。
ねえ、廉くん。
私、病気なんだって。死んじゃうんだって。
ごめんね。

「あっ、そーだ!
これ!友達からもらったんだ!
結麻、この映画見たがってただろ?」

廉くんが映画のチケットを2枚手に持って笑顔を見せてくれた。
覚えててくれたんだ…。

「今度、見に行く?」

廉くんが聞いてきた。

「うん。行きたい!」

「じゃあ後で日にち決めよーな!」

「うん!」

本当に嬉しかった。
いつかこれも忘れちゃうのかな。
もう病気のこと考えるのやめよ。
廉くんといるこの時間を大切にしよう。


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