瞬華
---奴ら、本格的に俺を殺るつもりのようだ---
ふぅ、と顔を上げた林太郎は、ふと左腕に疼痛を感じた。
見ると着物が裂けている。
どうやらさっきやり合ったときに斬られたらしい。
幸いかすり傷だが。
---あいつ、出来る---
いつもの奴らは敵ではない。
だが今日いた牢人は、ただの徒牢人ではなかった。
しっかりと修行を積んだ剣の腕だ。
---もうケリをつけないと、いい加減お志摩が危ねぇな---
だが勝てるか……。
思いつつ路地から出て少し歩いたところで、前方に己を探している男を見つけた。
いつもの遊び人と一緒にいる男だ。
林太郎は刀に手をかけて走り寄った。
その足音を聞きつけて、前方の男が振り返る。
「てってめぇ……」
男が手にした匕首を構える。
「いい加減に手を引け。さもなくば斬り捨てる」
刀の鯉口を切り、林太郎は男に言った。
「へっ。何だかんだで逃げてばっかの野郎が、粋がるんじゃねぇ」
男が馬鹿にしたように言う。
林太郎は今まで、特に剣技を見せてこなかった。
見せるまでもない相手だったからだが。
ふぅ、と顔を上げた林太郎は、ふと左腕に疼痛を感じた。
見ると着物が裂けている。
どうやらさっきやり合ったときに斬られたらしい。
幸いかすり傷だが。
---あいつ、出来る---
いつもの奴らは敵ではない。
だが今日いた牢人は、ただの徒牢人ではなかった。
しっかりと修行を積んだ剣の腕だ。
---もうケリをつけないと、いい加減お志摩が危ねぇな---
だが勝てるか……。
思いつつ路地から出て少し歩いたところで、前方に己を探している男を見つけた。
いつもの遊び人と一緒にいる男だ。
林太郎は刀に手をかけて走り寄った。
その足音を聞きつけて、前方の男が振り返る。
「てってめぇ……」
男が手にした匕首を構える。
「いい加減に手を引け。さもなくば斬り捨てる」
刀の鯉口を切り、林太郎は男に言った。
「へっ。何だかんだで逃げてばっかの野郎が、粋がるんじゃねぇ」
男が馬鹿にしたように言う。
林太郎は今まで、特に剣技を見せてこなかった。
見せるまでもない相手だったからだが。