もう一度、恋をしてもいいですか?

「桜介さん、落ち着いて、
最後まで聞いてね。

真知は、
もうウチの店にはいないのよ。
ちょっと前に辞めたの。」

その一言で桜介は
激しく動揺し、

「なんで…なんでだよ…
じゃあどこへ?華枝ちゃん、
教えて…」と肩を落とした。


「真知ね、辛かったのよ。

自分は
桜介さんの子どもを望めない。

でも洋介くんは、
あなたの遺伝子を
受け継いでいるかもしれない、と
思ったら、

嬉かったのと同時に
洋介くんの存在が辛くなったのよ。

真知は、
桜介さんも子ども好きなの
分かってたから、
余計じゃないかな?

現に桜介さん、ウチの2人にも
良くしてくれてるじゃない。

わたしも女だから、わかるのよ。

『相手の幸せが、自分の幸せ』って
置き換えられる生き物なの。
わかってあげて?」

と伝えた。

すると桜介が

「二人は、
真知の行き先を知ってるのか?
わかるなら、教えてくれ。
お願いだから。」

と大地の肩に掴みかかり
泣き崩れた。

大地は首を横に振り

「ごめん、それは無理だ…
真知ちゃんの決めたことを
俺は尊重したいと思う」と。

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